鍼灸院・針と感染症の関係を医師が考察

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たぬきんぐですじゃ。

当ブログ記事:鍼灸の国内外の事情と澤村投手のニュースを考察で海外の鍼灸事情と鍼治療のメリットとデメリットの説明をしました。(5000字ほどの硬い文章になっています。)

さて、鍼を受けるにあたってエイズや肝炎がうつるかどうか心配な方は多いでしょう。今回は感染症のリスクについて説明していきますぞ。

今回も海外の論文を中心に解説しています。前回記事を読まなくても理解できるように書いていますが、「海外でも鍼灸は盛ん」だということを頭に入れて読んでいただけると幸いですじゃ。

鍼で感染症になるのか

結論から言うと、適切な感染対策をしていれば感染の可能性は限りなく低いです。

じゃあ、安全なのか!と安心したあなた。まだ話は終わっておりませんぞ。

【適切な】

というのができているかどうかが重要なのですじゃ。

ここでは血液感染する怖い感染症、HIV感染症(エイズ)やB型肝炎、C型肝炎について考察します。

西洋医学と集団感染

B型肝炎訴訟と給付金のニュースを一時期よく見かけました。今でもラジオなどで給付金の相談のコマーシャルなどが聴けることがあります。

大量の感染症患者を出したという点で昔の予防接種での針の使いまわしは非常にひどいものでした。忌まわしい過去の経験もあり、現在では西洋医学では針は必ず使い捨てになっています。

昔は髄液採取用の針なども「my針」みたいなものを持っていたらしいという噂を聞いたことがありますが、少なくとも最近では見たことも聞いたこともありません。

針・鍼の使いまわしによる感染の仕組み

ウイルスのついた針が体に入ることにより、ウイルスが体の中に入っていきます。

感染するためには針にウイルスがついている必要があります。

そのため新品の針を清潔な手で使い、それらを置く場所が清潔なら針にウイルスがつかないので感染しません。

逆に言うと危ないのは以下のような場合です。

・中古の針を使っている場合

・針を置く場所(トレイなど)が汚れている場合

・施行者の手が汚れている場合

施行者の手(手袋)が汚れているために感染が起こるケースもあるので注意が必要です。(当ブログ記事歯科医院での治療で感染症にかかるリスクでも説明しています。)

トレイは必ず新品または滅菌されたものを使用する必要があります。意外と知られていないのですが、血液汚染はアルコールでは拭きとれません。しっかり洗浄した後、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)などの方法でウイルスや菌を死滅させます。針が新品でもトレイが中古なら意味がありません。

鍼と感染症の関係を論文から考察

後述しますが、鍼灸院のホームページやブログには肝炎にならないと説明しているものがほとんどです。「正しい方法で対策しているから安全」なところもあれば、ただ大丈夫と信じているだけのところもあります。

論文を2件、簡単に解説



C型肝炎患者に鍼を刺した後、鍼にウイルスがついているかどうかについてはLemos Jr達による報告(Lemos Jr, M. A., et al. “Acupuncture Needles Can Carry Hepatitis C Virus.” infection control and hospital epidemiology 35.10 (2014): 1319-1321.)があります。刺した後に調べたら50%(8人中4人)の患者の鍼から肝炎ウイルスが見つかったそうです。

C型でこれなら、B型は針刺しで感染しやすいのでもう少し確率は高いでしょう。

鍼治療でB型肝炎にかかったケースについては古い論文は多いですが、最近のものは比較的少なくなっています。とはいえ2016年のカナダの論文では鍼の使いまわしによるB型肝炎の感染が報告されています。(Rempel, S., et al. “Outbreak of acute hepatitis B virus infection associated with exposure to acupuncture.” Canada Communicable Disease Report 42.8 (2016): 169.)

先日の記事でも紹介したように、西洋ではすでに鍼は使い捨て(ディスポーザブル)だけになっているそうです。カナダの件ではディスポーザブルの鍼を使いまわしたため院内感染が起こってしまったようです。

個人的な意見ですが、論文というのは書く手間や証拠を集める手間がかかるので書くのは非常に面倒くさいですじゃ。書く人はガッツと興味があるから書くわけで、見つけても専門外ならまず書きません。

つまり、カナダの件は世界でも類を見ない珍しいケースなどではなく「氷山の一角」であると考えるべきだと思いますぞ。

鍼灸院の現状をググってみた

「鍼灸院 感染症」というキーワードで実際にググってみました。(2017年11月)

感染のリスクや対策を説明している鍼灸院は検索上位20記事中6記事ありました。(検索結果は常に変わります。)

6つの鍼灸院を比較すると、

・リスクと安全対策をしっかり説明している鍼灸院が2件

・うちは使い捨てをちゃんと使ってるから大丈夫だよとアピールしている鍼灸院が2件

・そもそも鍼で感染症にはかからないんだよ、もちろん使い捨ての必要はないよというスタンスの鍼灸院が2件

でした。

確率で言うと3分の2はOKということになりますが、「ホームページを作りこんでしっかりと文章を書く知識のある鍼灸院」でも3分の1は感染症についての理解が全く足りていないように思えます。一方で非常に高いレベルの知識を持っていてそれを売りにしている鍼灸院もありました。

医師の世界でもそうですが、鍼灸の世界でも個人間の知識の差は大きいようです。

たぬきんぐの考えとまとめ

欧米では鍼を原因とする古い感染症の報告は多数ありますが、現在では使い捨てが主流になっていることもあり報告は減少傾向のようですな。

きちんと対策をすれば感染はほとんど起こらないですが、ずさんな感染対策ではいくらでも感染は起こります。欧米の鍼治療は使い捨ての器具を使うのが当たり前であることを考えると使い捨ての鍼を使う施設のほうが安全と考えるべきです。(英語の得意な方は”clean needle technique” で検索すると海外の安全対策を読むことができますぞ。)

心配な方は確認しておくべきでしょう。安全対策について質問するのは失礼でも何でもありません。心ある鍼灸師ならおそらく丁寧に説明してくれるはずですじゃ。心無い場合は・・・知りませんのぅ。

しつこいようですが、鍼灸は可能性の溢れる分野で欧米の医師による研究も盛んです。(過去記事はこちら。)本人にとって辛い症状が西洋医学に「検査では問題ありません。様子を見ましょう」と切り捨てられることがあることも事実です。様々な症状に鍼灸が効いたという研究もあります。怪しいまじないなどではありませんぞ。

メリットのある鍼灸だからこそ、不要な感染リスクは避けたいものですじゃ。

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