るろうに剣心

高荷恵がどう凄いのか医師が解説する【るろうに剣心】

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たぬきんぐですじゃ。

 

るろうに剣心の「高荷恵」という医者キャラクターを考察します。

医療ドラマや医療漫画などを見る方の中でもどんな治療が行われているか細かく理解できる方は多くないでしょう。
るろうに剣心の場合は時代背景も違うのでなおさら評価が難しいです。
専門的知識も交えながら、なるべくわかりやすくその凄さを紹介しますぞ。

考察にあたってコマの引用をるろうに剣心3巻、6巻からさせていただいております。

高荷恵のキャラクター紹介

スーパードクター高荷

高荷恵は「武田観柳」という阿片密売商人に監禁され、阿片製造をさせられていた医者です。逃げ出して主人公達に助けられますが、武田の雇った忍者部隊(?)隠密御庭番衆が奪還にやってきます。

御庭番衆の考察記事はこちらからどうぞ!

ストーリーを簡単に説明

忍者集団・御庭番衆「癋見(べしみ)」がネジを飛ばして高荷恵を攻撃してきたものの、道場の少年「弥彦」君がブロックします。

弥彦が突然倒れ、ネジに毒が塗ってあったことが判明します。

ドヤ顔で毒を使ったと表現する癋見。こいつを捕まえて何の毒か聞きださないといけないのですが・・・。

がべっ!!

うっかり鉄の刀でぶちのめしてしまう主人公。さらに癋見をとらえられず、癋見の仲間「般若」に癋見を回収され逃げられてしまいます。

・・・仮に捕らえても白目向いてたし解毒方法しゃべらせるなんて無理ですじゃ・・・。

高荷恵は弥彦の症状から毒の種類を推定し、治療薬の指示を出します。

指示された通りの薬を用意した町医者が治療して弥彦は元気になりました。めでたしめでたしですじゃ。

・・・本当にこんなにうまく行くのでしょうか。この時代に?

曼陀羅葉の毒!とは何なのか

曼陀羅華(マンダラゲ)という名前で呼ばれることもありますが、植物の名前はチョウセンアサガオです。

世界初の麻酔薬に使われていたこともあり、日本麻酔科学会のシンボルにも使われている花が曼陀羅華ですじゃ。

曼陀羅葉というのは曼陀羅華の葉っぱのことらしいですぞ。

 

チョウセンアサガオ中毒といえば現代的かもしれませんな。

チョウセンアサガオ中毒とは

細かい薬理作用は説明できませんしませんが、「抗コリン薬中毒」という症状になります。アトロピン、スコポラミンといったチョウセンアサガオの有効成分が効きすぎるために起こる症状です。(アトロピンは現代でもよく使われる薬です。)

瞳孔が開くのは抗コリン薬中毒の特徴の一つです。高荷さんの要所を押さえた診断能力の高さが伺えますな。

詳しくは日本中毒情報センター様でどうぞ。

チョウセンアサガオ中毒は現代でも時折見られます。

葉をモロヘイヤと間違えたり

根をごぼうと間違えたり

チョウセンアサガオに挿し木したナスを食べてしまったり等。ご注意くだされ。

なぜ癋見は毒にチョウセンアサガオを選んだのか

チョウセンアサガオは自白剤として使われることがあったと言われております。忍者なら自白目的で在庫を持っていたのかもしれませんな。

暗殺目的なら、トリカブトのほうが明らかに危険なのでそちらを選ぶと思うので、そこまで殺意はなかったんじゃないかと思いたいですなぁ。

もちろん癋見が間違えただけだったりトリカブトは在庫が切れていたのかもしれません。

当時の医療で治療は可能なのか

そもそも現代ではどうするのか(マニアックな話)




チョウセンアサガオの中毒には「フィゾスチグミン」という薬が拮抗薬になります。(解毒と拮抗は厳密には違うのですが、説明すると長くなるので割愛します。)

フィゾスチグミンは日本では販売されていません。(欧米では使われています。)

フィゾスチグミンより新しいネオスチグミンという薬が使われるためですが、チョウセンアサガオ中毒以外の用途が中心です。
チョウセンアサガオ中毒にはフィゾスチグミンのほうが優れています。

ちなみに現代日本ではフィゾスチグミンがないのでチョウセンアサガオ中毒を治療する場合は対症療法が中心になります。
対症療法というのは熱に対して熱を下げる薬を使ったり血圧が下がったら上げる薬を使ったりと、症状に合わせた薬を使うことです。

欧米だとフィゾスチグミンを使うこともあります。(論文:Burns, Michael J., et al. “A comparison of physostigmine and benzodiazepines for the treatment of anticholinergic poisoning.” Annals of emergency medicine 35.4 (2000): 374-381.)

フィゾスチグミンの歴史

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フィゾスチグミンはアフリカ西部ナイジェリアにあるカラバル市の豆、「カラバル豆」から発見された成分です。発見されたのは1864年

明治時代が1868年からなので、その4年前には見つかったということになります。
るろうに剣心の時代は明治10年代なのですでに使用可能ということになりますな。

アフリカのカラバルから豆を持ってくることができれば、弥彦は治療可能ということですじゃ。

アフリカのカラバル豆は日本に存在するのか

あの爺さんにナイジェリアまで行ってもらうわけにはいかないので、カラバル豆は日本にないと困ります。
さすがに無理じゃ・・・?と思っていたのですが。

調べてみましたぞ。明治時代の医療を。歴史を。

我が家の古文書。明治4年の「海軍軍医寮薬局方」。当時の西洋医学の薬はすべてここに載っていますぞ!

パラパラとひたすらめくってみると・・・。

・・・ん?

カラバルビーン!!

なんと!この時代にはすでにヨーロッパからカラバル豆が輸入され日本で使える状態だったということが分かりました!

これならあの老医も持っていたかもしれないし、当時の東京なら探せば見つかったと考えて間違いないですのぅ。

追記:外科治療もお手のもの

一刻=30分ほどで麻酔、縫合すべて終了。

切断寸前(?)までダメージを受けていた由太郎の腕を一刻=30分ほどで縫合してしまう凄腕の持ち主。

控えめに言ってもゴッドハンドであります。

たぬきによる高荷恵のすごさまとめ

診察して瞬時に抗コリン薬中毒であると判断する診断能力の高さ。
剣心・薫・佐之助に対する冷静な指示出し、統率者としての能力。
薬剤に対する理解力。

これは紛れもなく一流の医者ですじゃ!

・・・なぜ和月先生(または編集者?)はチョウセンアサガオをカラバル豆で拮抗するというマニアックなストーリーを見つけることができたのかのぅ。
設定の細かさが読んだだけではわからないのがもったいないですじゃ!

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